医院名:石戸谷耳鼻咽喉科 住所:〒157-0062 東京都世田谷区南烏山6丁目4−29 南烏山アスピレイーションビル 
電話番号:03-5315-3341

副鼻腔炎の診断・治療

副鼻腔炎副鼻腔炎は急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎に大別されます。急性副鼻腔炎は細菌やウイルスの感染が原因となりますが、慢性副鼻腔炎は細菌やウイルスによる感染症ではなく病態(病気の原因や病状のタイプ)が多様で個々の患者様によって治療方法も異なります。それゆえ、慢性副鼻腔炎の治療に当たっては慢性副鼻腔炎の病態を鑑別して診断することが重要です。症状や病歴だけでなく、アレルギー性鼻炎・喘息・鼻中隔弯曲・鼻茸などの有無や鼻汁の性状、画像所見(CT検査やX線検査)などを参考にして、個々の患者様の慢性副鼻腔炎の病態にあった治療を行います。
当院では内視鏡(電子スコープ)やCT撮影装置を備えており、初診時に慢性副鼻腔炎の詳細な評価が可能です。

副鼻腔炎の症状

鼻づまり副鼻腔炎の症状としては、

  • 鼻閉(びへい):鼻づまり
  • 鼻漏(びろう):はなみず
  • 後鼻漏(こうびろう):はなみずがのどに垂れる
  • 痰・咳
  • 頭痛・顔面痛
  • 嗅覚障害:匂いがわからない

などの症状があります。

慢性副鼻腔炎の種類(分類)

慢性副鼻腔炎の成因や病態は、様々で慢性副鼻腔炎といっても患者様によってその成因や病態は異なります。
大きく分けて好酸球性副鼻腔炎と非好酸球性副鼻腔炎に分類され、それぞれの中にもいくつかの種類があります。
病状や鼻腔所見、画像所見などから個々の患者様の副鼻腔炎のタイプを判断し、それに合わせた治療がとても効果的です。

好酸球性副鼻腔炎

近年、注目されている難治性の副鼻腔炎で喘息の重症例に合併することも多く完全に治癒することが難しいですが、手術が有効で病状を軽減することができます。好酸球性副鼻腔炎の中でも重症例は指定難病に指定され、難病医療助成が受けられます。手術後の再発例に関しては、2020年4月から最新の治療である生物学製剤も適用になりました。また、難治性の好酸球性中耳炎を合併する方もいらっしゃいます。

好酸球性副鼻腔炎の手術はこちら >

非好酸球性副鼻腔炎

蓄膿症と称されていた以前からあるタイプの副鼻腔炎です。非好酸球性副鼻腔炎の中にもいくつかのタイプがあり、鼻中隔弯曲症、アレルギー性鼻炎、こどもの頃からの繰り返す急性副鼻腔炎、など非好酸球性副鼻腔炎の成因・病態は様々です。マクロライド少量長期療法(クラリス、ルリッド、エリスロマイシンなどのマクロライド系抗生物質を少量で長期間服用します)が基本的治療ですが、患者様の病態に合わせてアレルギー性鼻炎治療なども併用します。鼻中隔弯曲が原因による副鼻腔炎の治療には手術が必要になることが多いです。また、大きな鼻茸がある場合やマクロライド少量長期療法で改善できない場合は手術適用です。

副鼻腔炎の検査

前鼻鏡検査

診察鼻腔の状態を視診します。実際には鼻腔の前の方しか見えません。

電子スコープによる内視鏡検査

内視鏡検査鼻腔内の奥まで詳しく観察します。鼻腔の形態(個人個人によって様々です)、鼻茸(鼻ポリープ)の有無、鼻汁の存在する部位、後鼻漏の有無などを観察します。

X線検査

レントゲン検査副鼻腔は鼻腔検査では見えず、副鼻腔炎の有無を正確に診断するにはX線検査が有用です。顔面・頭部のみの検査ですので体の他の部分の被爆はありません。また、当院では放射線被曝量の少ないX線検査装置を使用しておりますので妊婦の方でも検査は安全です。

CT検査

副鼻腔は上顎洞・篩骨洞・前頭洞・蝶形骨洞の4種、左右で8あります。CT検査はそれら8つの副鼻腔の病状が詳細に観察でき、慢性副鼻腔炎の重症度や副鼻腔炎の病態病気の原因や病状のタイプ)の鑑別診断にも極めて重要です。撮影して数分後にはモニター上で全副鼻腔の評価ができます。当院のCT装置は放射線被爆が少ないコーンビームCTなので、一回の鼻・副鼻腔撮影の被爆量は航空機でハワイを往復する際に浴びる自然放射線量の程度です。放射線被爆は頭部だけですので妊婦の方でも安全です。

細菌・真菌検査

細菌検査必要に応じて、副鼻腔炎の原因となっている細菌の種類を調べます。
(例:肺炎球菌、インフルエンザ菌、ブドウ球菌など)

治療方法

薬物療法・吸入療法

薬物療法ネブライザー療法急性副鼻腔炎は抗菌薬による治療を行います。
慢性副鼻腔炎に対しては病態(病状のタイプ)にあわせた薬物を組み合わせます。
慢性副鼻腔炎にはマクロライド少量長期療法がよく用いられます。これは14印環という構造を持つマクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン)を通常量の半量で長期間(2週間から数ヶ月間)服用する治療です。抗菌作用の弱い抗生物質をさらに半量で用いるので長期間服用しても安全です。マクロライド少量長期療法は細菌に対して働くのではなく、鼻・副鼻腔粘膜の慢性の病的状態を正常化し鼻汁や後鼻漏を徐々に改善します。

代表的な手術療法

慢性副鼻腔炎が薬物療法で改善しない場合や鼻茸がある場合、また鼻中隔が強く弯曲している場合には手術療法が必要となります。

手術1:内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS:Endoscopic Sinus Surgery)

内視鏡を使用してより安全で低侵襲(傷が少ない)な手術を行っております。手術操作はすべて鼻の穴から行い、鼻茸を切除し罹患している各副鼻腔の病的な粘膜を除去し、各副鼻腔を鼻腔に大きく開放して副鼻腔炎が再発しにくくします。

慢性副鼻腔炎の手術はこちら >

手術2:鼻中隔弯曲矯正術

手術左右の鼻腔を仕切りする鼻中隔は誰でも多少は曲がっていますが、その曲がりの程度が強いと鼻閉や副鼻腔炎、また嗅覚低下・障害の原因となります。手術は鼻内から行い、曲がっている部分の鼻中隔軟骨・骨を摘出して鼻中隔をまっすぐにします。

鼻中隔弯曲症の手術はこちら >

手術3:下鼻甲介手術

鼻閉の改善を目的に、鼻中隔弯曲矯正術とセットで行われることが多いです。また、アレルギー性鼻炎に対する手術療法としても有効です。手術は内視鏡下鼻内手術で行います。

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